ハツリストという蛮族がいる

「ちょうな」で木をハツる、木を耕す日々

大阪城 櫓の床板 見聞記

f:id:hatsurist:20160528001327j:imageある日、たまたま目にしたお友達のフェイスブックの投稿に大阪城の櫓の特別公開の記事を見つける。
「あれっ、大阪城って昭和の再建だから大したものは残ってないんちゃうのん?」と、勘違いしたまま、その投稿を読むと、なんと江戸時代に再建された櫓が幾つか残っていて、その特別公開期間中とのことであった。そしてそこには、なんとなんと、櫓内部の床板にチョウナのハツリ目が残っている、と書かれていたのだ〜。これは是非見に行かなければ!。幸い、大阪に打ち合わせに行かねばならない用事があったので、それにかこつけて、いそいそと出掛けて行った。うんざりするような渋滞と、どこに車を停めたらええのかわからない、という田舎者丸出しのドンくささで、お城からやたら遠いところに車を停めてしまい、お城に近付く頃は3時50分。ここで入場は4時までという案内を見つける。ひゃー、アホのように走って走ってようやく櫓に辿り着くと「本日の見学受付は終了しました」の文字。時計を見ると3時55分。アカン、アカンやろ〜それは。係の人に頼み込んで、なんとか入場券を売ってもらい(700円)、足早に櫓の中に入る。キタ〜、これや、これや。
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f:id:hatsurist:20160527232343j:image滑らん、滑らん〜
櫓の外観や床板以外の印象が一気にぶっ飛んでしまい、はしゃぎまくるうち、ふと疑問が……

  あの〜、これって創建当初の400年前のものやろか??

なんとなく、そこまでは古くない感じがしてしまうのさね〜。と、思ったら、おおっ、やっぱりあった、上の写真の足で踏んでる板の左となりの板、これは古そうだ。そして、ハツリ痕も磨耗して、だいぶ目立たなくなっている。しかし、ハツリの跡の凹凸はまぎれもなく残っている。と、いうことは、これが当初の400年前の材で、他のほとんどの板は昭和34年から始まる改修工事の際のものだろうと予想される。腐ってしまったか磨耗し過ぎたのか、何らかの理由でほとんどの床板は使えなくなり、新しい板に取り替えられたものと思われる。その時、旧状に倣ってハツリ仕上げが行われたのであろう。400年前のもので無いとわかっても少しも感銘が減ることはない。むしろ創建当初に近い床板の感触が味わえて誠に良いのである。ヒノキの床板がポコポコと足の裏で緩やかなリズムを刻む、櫓の床板にしておくのはもったい無い、ここでゴロゴロ過ごしたいのである。
f:id:hatsurist:20160527235208j:image丸いハツリに唐突に矢羽根模様のハツリが混ざる。まるっきり気ままだが少しも嫌な感じはしない。
f:id:hatsurist:20160527235853j:imageしかしやはり、心地よいのは丸いハツリ(^^)。やや斜めからスパッと刃物が入った痕が残っている。ヒノキの床板がこれほど魅惑的だった例を私は知らない。
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かといって、そんないい板ばかり使っているわけでもなく、どちらかといえば並の材料である。
そこに人の手業加わることによって蠱惑的なものに変えてしまう。ハツリと材料の最も幸福な結び付きを、ここに見るのである。